脱”経済的品質”主義
脱”経済的品質”主義とは
経済の教科書には、品質の向上とコストの低減は相反する概念であり、お互いが妥協する点(グラフでいうと、それぞれの曲線の交差点)が、“経済的品質”であるとされています。このグラフは、「コストをかけて過剰品質になっても誰も喜ばれない」という技術系の経営者に対する忠告にも受け取れます。しかし、これは果たして正論でしょうか。
製品の品質に少しでも問題があれば、競争するまでもなく市場に上がれないという現状を踏まえると、品質は絶対的です。そもそも品質とコストは矛盾する概念ではありません。コストを抑えて品質向上させるには、人間の情熱と知恵(基本的にコストはかからない)によって実現できます。このグラフのコスト曲線(製造力)は、知恵と工夫によって、次第に右側の下位の曲線に改善されていくので経済的品質はゼロに近づいていきます。ゼロのモノづくりでは、経済的品質は単なる一時的な通過点に過ぎず、意味がありません。それはまた活動停止の口実にもなっており、百害あって一利なしと言えます。