分析・故障解析
Analysis
分析・故障解析

犬や猫の遺伝疾患検査や、豚の品種判定などを実施しています。

概要

遺伝子は「生命の設計図」とも呼ばれ、生物種の特徴や個体の持っている様々な体質や性質を決定しています。遺伝子の本体は4種類のDNA(デオキシリボ核酸)の配列から成っています。
なんらかの形質との関連が明らかになっている遺伝子の特定の変異箇所を調べることで、遺伝性疾患を発症するリスクや肉質や毛色などの性質、個体の識別や親子の特定などができます。

特長

1. 高感度な分析法であり、数mg程度の少量の生物試料から得られた微量のDNA量(数ng程度)でも分析が可能です。
2. 遺伝子のDNA配列は同じ個体では全ての細胞で同一であり、粘膜・肉・毛根などの様々な組織をサンプルに利用できます。
3. 遺伝子のDNA配列は生涯変化することがないため、分析は一回で済みます。
4. 生物試料から抽出・精製したDNAは低温冷凍条件で半永久的に保存が可能であり、再分析やライブラリとしての保管も容易です。

遺伝子検査のフロー

分析方法

DNAシーケンス解析

ゲノムDNA中の任意の遺伝子配列を決定できます。
PCR法で増幅したDNA断片を蛍光標識した一本鎖DNAとして複製し、キャピラリで分離して各鎖長のDNA鎖の末端塩基配列を検出します。
遺伝子配列はクロマトグラムにより出力されます。
遺伝子配列の1塩基多型の変異解析、生物種のDNA鑑定等が行えます。
解析用途:犬や猫の遺伝疾患検査、生物種の鑑定

フラグメント解析

ゲノムDNAからPCR法で増幅したDNA断片の塩基長さを解析します。
1塩基の精度で断片長を決定することができます。
ゲノムDNA中のマイクロサテライト解析による個体判別や親子判定、遺伝子配列の挿入欠失変異の解析、DNAフィンガプリンティング解析が行えます。
解析用途:豚の品種判定および個体判別、犬の親子鑑定

設備紹介

遺伝子解析装置
Applied Biosystems 3500 ジェネティックアナライザ
キャピラリ数:8本(8サンプルまで同時分析可能)
分析可能範囲:≦1000塩基対
分析時間:40min-120min(塩基配列長による)
解析アプリケーション:ダイレクトシーケンス、フラ
グメント解析、SNPジェノタイピング、AFLP分析

リアルタイムPCR法

リアルタイムPCR法はPCR法により増幅される核酸の変化量を経時的に検出する手法です。
ペットの遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異をTaqManプローブ法により検査しています。
TaqMan®プローブ法とはリアルタイムPCR法の1種で、5’と3’末端にそれぞれ蛍光分子と消光分子(クエンチャ)を標識した配列特異的なプローブを使用したqPCR法です。
TaqDNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、目的配列に結合したプローブが分解されることにより、目的配列が存在した場合にのみ蛍光として観測されることを利用することで、遺伝性疾患の原因となる遺伝子変異があるかを検出しています。
リアルタイムPCR法は高感度であるため、生物種に固有の配列をターゲットとすることで微量のウイルスや細菌を検出することが可能です。
解析用途:犬猫の遺伝性疾患検査、生物種鑑定

  • 正常型と変異型の2種類のプローブを用いてリアルタイムPCRを行い、正常型の蛍光が検出されれば遺伝性疾患リスクなし、変異型のプローブ蛍光が検出された場合は、遺伝性疾患の発症リスクありと判定されます。

設備紹介

●リアルタイムPCR解析装置
 Takara Cycler Dice Real Time System Ⅲ
 96サンプル同時解析可能
 2種類の蛍光波長検出(最大4種類まで搭載可能)
 温度設定範囲10~99.9℃(0.1℃単位)
 融解曲線分析可能
 スタンドアロン動作可能
 解析アプリケーション
 +/-判定、絶対定量、相対定量、SNPsタイピング
●PSS社 magLEAD (核酸自動抽出装置)
 本体サイズ:H570×W500×D530(mm)
 本体重量 :50 kg
 最大処理サンプル数:12 samples/run
 処理時間 :30 min/run
 最大サンプル量:200 – 1000 µL
核酸は特定の条件の溶液中において、シリカに吸着する性質があります。
その性質を応用し、シリカに核酸を吸着させて不要な物質を洗い流すことで核酸を抽出します。
本機は磁気粒子をシリカでコーティングしたビーズを含む専用の試薬カートリッジをセットすることでサンプルから核酸を全自動で抽出することが可能です。サンプルに応じて試薬カートリッジを変更することで様々なサンプルへの対応を可能にしています。

所在地

〒660-0083
兵庫県尼崎市道意町7-1-3 ARIC 304
尼崎リサーチ・インキュベーションセンター内
バイオ事業部