研究開発・コンサルティング
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研究開発・コンサルティング

電子機器の設計から問題解決まで、製品のEMC性能確保についてコンサルティングをおこなっております。

要約

EMC性能に優れた電子機器を設計するためには、電子機器そのものの流入出雑音・放射雑音を低減するのは勿論ですが、その機器の設置環境やシステム環境などの電子機器の外部環境まで包含した視野で設計検討をおこなう必要があります。
また、問題が発生してからの改善活動には限界があることが多く、設計構想段階から十分にEMC性能を造り込むことが必要です。
弊社では、これらに鑑み、設計の上流から問題発生時の対策検討に至るまで製品のEMC性能確保のためのコンサルティングをおこなっております。

詳細

表1は電子機器の開発から量産化までのプロセスにおいて、弊社がお客さまに提供できるコンサルティングを車載電子機器を例にとって示しております。
もちろん車載電子機器以外でもほぼ同様に考えることができることはご理解いただけると思います。
以下、表1の設計・評価プロセスについて順に概要を述べます。

  • 表1. EMC性能確保のための設計プロセスとコンサルティング活動

ベンチマーク:
どのタイミングで行うかは微妙ではあるものの、設計プロセスのどこかで必要になると考えられますので、お客様のご希望するポイントについて調査または調査の援助をさせていただきます。

以下、設計プロセス1~8におけるコンサルティング活動の概要について順を追って述べます。

1. 全体設計

本来、設計の最初の段階で、設置環境、システム環境全体を見ながら対EMC設計を行わなければなりません。車載電子機器の場合を例に取りますと、本来は以下の1.1から1.4の順に検討をおこなわなければなりません。
1.1 車両の搭載位置の電磁環境を知る:
モーターや電力機器のような大きな雑音源の有無や、雑音に対して敏感な電子機器の有無、カーラジオのアンテナなどの有無を知り、それらに適合するシステム構築の検討が必要です。
1.2 ワイヤハーネスを含めたシステムの検討:
お客さまである自動車メーカに納入する電子機器はそのコネクタ端子において流入出する雑音電流が抑制されたものでなければEMC問題を起こす可能性が大となります。この流入出雑音電流は、電子機器の筐体と車体との電気的な接続環境や、自動車メーカ手配により予め車体に装着されたワイヤハーネスの配策やグラウンド用ワイヤの車体への接続位置により大きく変化しますので、これらの影響を含めて総合的にシステム設計をおこなう必要があります。極端に言えば、これによって電子機器の筐体を金属筐体にするか樹脂筐体にするかという選択が必要な場合も発生します。
1.3 構造設計(筐体設計):
本来、前記1.1~1.2をふまえて初めて構造設計(筐体設計)が可能になる筈であり、ここで電子機器の筐体も含めた全体設計が可能になる筈です。
1.4 回路設計:
当初より、前記1.1~1.3を経て回路設計をおこなわないと、お客さまに提案した製品ができてしまってからでは、雑音対策が不可能な場合すら出てきますので、この順序を経てEMC性能のつくり込み設計を行う必要があります。
1.5 回路基板設計:
本来、これまでの経過を経て初めてEMC性能に優れた電子機器の回路基板のアートワーク設計が可能になる筈ですが、一般的に、上記に述べましたような順序でEMC性能のつくり込むための設計がなされていない、または、できない場合が多いようです。
ここではこれまで培ったノウハウを纏めた設計指針と失敗事例集が必要であります。もしこれらが十分でない場合には、改訂や作成の援助を行います。またDRの際に必要なチェックリスト作成の援助を行い、場合によっては作成いたします。

2. 設計DR

DRにレビュアとして参加させて頂き、EMCに着目した設計改善案の提案をさせていただきます。

3. 回路基板設計

1と同様ですが、アートワーク設計時に助言をさせて頂き、改善案の提案をさせていただきます。

4. 回路基板DR

回路基板発注前のDRにレビュアとして参加させていただき、EMCに着目した設計改善案の提案をさせていただきます。また、すでにお持ちの失敗事例集や設計指針などについても、弊社でこれまで培ってきた経験をもとに、さらにグレードアップ出来るような援助をさせていただきます。

5. 試作品評価

評価時にEMCの観点での評価作業の援助を行います。
特に、回路基板上の雑音電流の分布はシールド室内設置の雑音電流可視化装置によって調べることができますので、雑音源を特定したエビデンスを得ることができます。
なお、弊社に設置されております雑音電流可視化装置は、磁界プローブと電界プローブの両方対応できますので、回路基板上の雑音の分布が電流モデルであるのか電界モデルであるのかを確認することも可能です。
また、A3版のサイズまで走査することができますので、かなり大型の基板まで位置をずらすことなく一度に測定することが可能です。

6. 修正

評価結果においてEMC性能が十分でないと判明した場合、性能向上を図ることが必要になりますが、性能が十分でないことの原因の解明を行い、性能向上のための提案をさせていただきます。
また、場合によっては製品の改善作業をさせていただくこともあります。

7. 再評価

対策による副作用の有無も含めて、改善効果の確認作業の援助を行います。

8. 次機種開発準備

上記5~7を繰り返すことは、納期遅れなど機会損失を招き、納入先へ多大な迷惑をお掛けすることに繋がりますし、お客さまへ納入した際の納入先評価においてNGを繰り返すことは技術力を疑われることにもつながりかねません。
このようなことにならないためにも、上記1~4の初期段階において十分にEMC性能確保のためのつくり込みを行う必要があります。
次機種の開発をより確実なものとするために、設計とDR用の資料に、これまでの、特に5~7で得た新たな知見を掘り下げた上で追加し、より確実な開発を行えるよう援助します。
 
前記それぞれの段階で、必要に応じてコンサルティングをさせていただきます。
なお、理想的には表1の全工程におけるコンサルティングをさせていただくのが有効であると考えます。

設備

これまで述べたコンサルティングを行なうための基本設備として、弊社では以下の設備を保有しております。
信号のレベルなどより格段にレベルの低い雑音を測定するためには外界より電磁遮蔽されたシールド室が必要となりますが、弊社では2室設置しており、主としてエミッション用とイミュニティ用とで使い分けております。
なお、高周波雑音可視化装置を用いて雑音電流の作る電磁界を計測することにより、回路基板を流れる雑音電流の分布を知ることができますので、回路基板から外部ワイヤハーネスへ流出する雑音電流を抑制するための対策を行なう助けになります。
また、このシステムに組み込まれているスペクトラムアナライザは単独でも使用することができ、7GHz以下の雑音波形を観測することができます。
 
■シールド室:日本シールドエンクロージャ製
 3w×4d×2.5h[M]、2室
■高周波雑音可視化装置:森田テック製 WM7300
 測定周波数範囲:150kHz~6GHz
 分解能:0.5mm
 最少測定距離:0.5mm(レーザ変位センサ内蔵)
 測定可能な回路基板のサイズ:A3サイズ
 アジレント N9000Aスペクトラムアナライザ