ねじの締め付けで適切なトルク管理が必要な試験において、各種トルク法を用いて締結評価を行います。
概要
トルクとは、物体を回転させる力のことです。
部品を締結する際に、ねじを回転させて締め付けると、被締結物には圧縮力、締結物には引張力が働き、部品が固定されます。
トルクは弱すぎるととねじが緩み、反対に強すぎるとねじが破損する危険性があり、適切なトルク管理が必要となります。
トルクの管理にはトルクレンチが使われます。
締結されているねじトルクの測定方法として、増締めトルク法と、戻しトルク法があります。増締めトルク法は、A点測定、B点測定の2種類になります。
特徴
1.増締めトルク法
●A点法
締結されているねじを締め付け方向に回転させ、静摩擦に打ち勝ちねじが、回転し始める瞬間のトルク値を読み取る方法です。
静摩擦のトルク値であるため、実際に締め付けたトルク値よりも高い数値となります。静摩擦のためA点が存在しないこともあります。
●B点法
締結されているねじを締め付け方向に回転させ、ねじが回転し始めた瞬間の力を保持して、その状態からさらに力を加えた時に、ねじが再び回転する瞬間のトルク値を読み取る方法です。
静摩擦から動摩擦に変わる瞬間を読み取りますので、技能が必要となりますが、実際に締め付けたトルクに近い値になります。
2.戻しトルク法
締結されているねじを緩み方向に力を加え、ねじが回転する瞬間のトルクを読み取る方法です。実際のトルク値より低い値となります。
機器紹介
ダイヤル形トルクレンチ(東日製作所)
DB1.5N4
・トルク測定範囲0.2~1.5N・m
DB3N4
・トルク測定範囲0.3~3.0N・m
DB6N4
・トルク測定範囲0.6~6.0N・m
DB12N4
・トルク測定範囲1.0~12.0N・m