信頼性試験
Reliability
Test
信頼性試験

短時間で仕様を超える温度と振動の複合ストレスをサンプルに与え、稼働限界を探る「HALT(高加速寿命試験)」

概要

信頼性試験は、DVT(Design Verification Test/設計確認試験)や、ALS(Accelerated Life Testing/加速寿命試験)にて行っています。
近年、欧米を中心にstimulation(強制)試験として、HALT( Highly accelerated Limit Test/高加速寿命試験)を採用する動きが多いです。
「高加速寿命試験」と訳されますが、従来からのALSとは異なります。
ALSが時間をかけて試作サンプルの強度劣化を促進する試験であるのに対し、HALTは逆に短時間にストレスを増大させていき、強制的にサンプルの破壊領域に到達させ、故障を発生させることを目的とする試験です。
HALTを上手く利用し、エレクトロ業界で多発するリコール対策など、市場における工業製品の信頼性を短時間で向上させる新しいアプローチとして、注目されています。すでに欧米諸国への輸出(通信、自動車、航空機、船舶、サーバ、PC、電源など)の際に必須試験として指定されることがあります。

特長

HALTは、短時間で製品仕様を超える温度と振動の複合ストレスをサンプルに与えることより、稼働限界・破壊限界を検出します。
その結果を基に設計改善を行うことで、品質や信頼性を高めることができます。

HALTのステップ

HALT実施パラメータとしては、温度変化やランダム振動試験があります。代表的なHALTのステップを示します。
(1)低温ステップ
(2)高温ステップ
(3)温度サイクル(急激な温度変化)ステップ
(4)ランダム振動ステップ
(5)複合ステップ((1)+(4)、(2)+(4)、(3)+(4))

  • 図 代表的なHALTのステップ(1)~(5)

HALT試験機の仕様は、低温が-100℃、高温が200℃、温度変化が70℃/minです。ランダム振動は100Grms、周波数帯域は0~10,000Hzが可能です。
ランダム振動はX,Y、Z軸方向の加振に加え、各軸の回転が付加され、6自由度の加振となります。*1
こららの範囲内で最適な試験条件を選択することで、使用環境よりも高い負荷を対象サンプルに与えて、システム全体の品質改善点を早期に発見できます。
従来の耐久試験とは異なるので注意が必要です。HALTの適用はサンプルの開発段階の異常の早期発見につながります。また、サンプルを改良する際に使用する試験手段でもあります。
また、弱点や欠点を原因解析することにより、設計だけでなく製造に起因する不具合を予測することもできるため、製造プロセスへのフィードバックも期待できます。
*1 試験機によって仕様は異なります。

  • 図 6自由度振動イメージ