静電気が電子機器や半導体部品に放電した際の耐性を、様々なモデル法を用いて幅広く評価します。
耐静電気試験:ユニット
帯電した導電性の物体(例えば人体) が他の導電性の物体(例えば電子機器)に接触、あるいは充分に接近すると、激しい放電が発生します。
この現象は ESD(静電気放電)と呼ばれ、電子機器の誤動作や損傷などの問題を引き起こし、あるいは、爆発性雰囲気においては爆発の引金となることもあります。
静電耐圧試験は、人体又は使用環境によって製品が受ける静電気の影響を確かめるために行う試験です。
試験規格は、大きく分けて衣服などから発生する一般的な静電気放電をシミュレーションしたIEC61000-4-2と、自動車の乗り降りなどで発生する静電気放電をシミュレートした、ISO10605に別れます。それ以外にもデバイスに対しての規格EIAJ/JEITAや自動車用デバイスに対してのASE-Q100などがあります。
ここでは製品やユニットに対しての静電気放電の試験概要を記載します。
試験規格
・IEC61000-4-2
低い相対湿度環境下では、化学繊維等の衣類や絨毯などから帯電した測定者からの直接あるいは近接した物体を介しての静電気放電にさらされます。
電気・電子機器に対するイミュニティ評価に適用される規格です。
この規格では、帯電した人体が金属を手に持ち、電子機器に放電をした場合を想定し、その時に発生する電流波形をシミュレートするための回路を用いて試験を行う事を規定しております。
・ISO10605 ed2.0 2008
車両内や車両の乗り降り時に発生する静電気放電は、自動車に搭載される電子機器の誤動作を引き起こす原因であり搭載電子機器の数が増加するにつれて、ますます重要視されています。帯電した人体から電子機器に放電する静電気現象をシミュレートし、自動車環境に合わせた環境で試験することを想定しています。電子機器が走行時に使用されることを想定した耐性評価手順に加え、包装や取り扱い時等の組立て時における各機器の静電気耐性を評価するための試験手順についても規定しています。
発生回路概略図 (IEC61000-4-2)
試験風景
対応規格
IEC/JIS C 610004-2 ISO10605
耐静電気試験:デバイス
静電気放電ESDとは、Electro-Static Dischargeの略語であり、静電気の放電を意味します。
電子回路や半導体部品を破壊する恐れがあるため、電子部品に関する作業の現場では静電気の発生を防ぐ必要があります。
帯電した人体や装置より引き起こされる静電気エネルギが半導体デバイスへ放電する現象を再現し耐性を確認する試験です。ESD試験とはESD事故を防止、管理するために、各種ESD(静電気放電)耐性を確認、評価する試験です。
試験条件
・人体モデル法(HBM法:Human Body Model)
デバイスに対して人体から静電気が放電された場合を模擬した試験です。
条 件:C=100pF R=1.5KΩ 1回印加(C:コンデンサ容量、R:抵抗)
電 圧:±10~±8,000V
・マシンモデル法(MM法:Machine Model)
デバイスに対して機械から静電気が放電された場合を模擬した試験です。
条 件:C=200pF R=0Ω 1回印加(C:コンデンサ容量、R:抵抗)
電 圧:±10~±4,000V
・デバイス帯電モデル法(CDM法:Charged Device Model)
デバイス自身が帯電して静電気が放電された場合を模擬した試験です。
電 圧:±10~±4,000V
試験風景
破壊事例(試験後調査)
対応規格
JATA/EIAJ ED-4701/300 IEC61340 など