20個分のサンプルの同時試験が可能となるIOL試験、空冷パワーサイクル試験について紹介します。
1.主旨
小型ディスクリート半導体を対象とした空冷パワーサイクル試験、IOL試験専用試験設備を設置し、試験の受託を開始しました。
小型ディスクリート系の半導体パワーデバイスのパワーサイクル試験は、JEITA ED-4701/600で試験方法が規定されています。また、米国の自動車部品規格AEC-Q101でも同様の試験がIOL試験(Intermittent Operational Life)として要求されています。特に、IOL試験では多数のサンプルの試験を行う必要があり、従来の試験機では対応が困難でした。
2.試験の概要
3.試験設備概要
3-1外観
写真の設備により、サンプル20個分の同時試験が可能です。試験サンプル数は40個まで拡張予定です。
3-2 ブロック図
サンプル4個分のブロック図です。
電源装置の共通化に加えて、小型コントローラとシンプルなハードウエアの組み合わせにより、全体として高性能化と小型化を図っています。
3-3 ログデータ
全試験サイクルの下記のデータが各コントローラのマイクロSDカードに記録されます。
1)サイクル数
2)電流
3)電圧(通電オフ直前)
4)Tjmin(通電前Tj)
5)Tjmax(通電直後Tj)
6)ΔTj(Tjmax – Tjmin)
4.試験データ例1(電流一定モード)
TO-220パッケージのMOSFETの内蔵ダイオードに通電して、3分オン、3分オフ、ΔTj100℃の条件で200サイクル試験したときのTjとTcの波形を測定しました。試験サンプルは2個(サンプルNo.B5、B6)。
電流は固定モードで、B5は3.18A、B6は3.25Aです。
なお、試験は、24℃に設定したエアコンを動作させた試験室で実施しました。
4-1 ログデータ(ΔTj)
ログデータからΔTjをグラフ化したものを下図に示します。安定して100℃付近となっています。
4-2 Tc波形
TO-220パッケージ裏面の放熱電極の温度Tcを熱電対で測定したデータのグラフを下図に示します。
TcはTjmax(125℃)付近まで上昇し、室温近くの25℃まで低下しているのが分かります。
5.試験データ例2(電流自動調整モード)
下図は、電流自動調整モードでの試験データです。室温の変動によりTjminが変動しても、ΔTjが一定になるように電流が制御されます。
6.結論
従来の試験機より、大幅な小型化に成功しました。
多くのサンプルを効率的に試験することが可能になりました。
弊社では、パワーサイクル試験についての多くのノウハウを活用し、
お客様のご要望に沿った試験機構の構築及び新規機構の提案が可能です