試料作製
Sample
Preparation

CP加工(イオンミリング)による超精密試料

背景

走査電子顕微鏡による数千倍以上の断面観察や、EDS及びWDS等による微小調査のニーズが高まりつつある昨今。
イオンミリング法に基づいた断面加工装置「CP(クロスセクションポリッシャ)」は、機械研磨では難しかった高分子や金属、複合材料など様々な試料で歪みのない断面が作製できます。
硬いものと柔らかいものが混在している複合材料でも、材料による影響を最小限に抑え、綺麗な断面が作製可能です。
また、無応力で加工できることにより歪みがなく、試料の結晶構造を壊さず、積層形状、結晶状態、異物断面の解析の前処理装置として最適です。

イオンミリングの原理

集束していないブロードなアルゴンイオンビームを試料に照射し、試料原子を弾き飛ばすスパッタリング現象を利用して試料を削ることを言います。
電子顕微鏡の試料作製の場合、予備的に薄くした試料の表面すれすれにアルゴンイオンビームを入射させ、透過電子顕微鏡用の薄膜試料を作ります。

イオンミリングによる断面研磨(CP加工)について

断面観察を希望する位置に遮蔽板の端部を置き、Ar+イオンを試料に照射。
遮蔽板から突き出した試料部分がスパッタリングされ、遮蔽板端面位置の試料断面が露出します。
高分子、金属、セラミックなどあらゆる材料の断面作製が可能です。
イオンミリングに基づく断面を行うことで、機械研磨のように砥粒や溶媒などの影響を受けず、硬質・軟質の混在する複合材や積層材にも、精細な断面作製が可能。
無応力な加工なため、試料へ歪みを与えず結晶構造を維持できます。
微細なボイドに対して、欠けやダレなく断面作製でき、結晶性試料では、明瞭な結晶方位が得られます。

機械研磨とイオンミリングのSEM画像比較

下図は、機械研磨とCP加工(イオンミリング)で各々研磨した後に、合金層をSEMにて1万倍で撮影し比較した画像です。
比べると見え方の違いが一目瞭然です。このように、機械研磨による断面研磨作製では潰れてしまい観察しにくい合金層の境界が、イオンミリングだとはっきりと分かれて観察できます。
このように、1万倍以上での観察や分析を行う際にはイオンミリング加工が適しています。
特にめっき合金層の測長や微細なボイド・クラックの観察には、傷やダレの無いCP加工をお勧めします。

イオンミリング法によるCuの断面研磨事例

右図は、Cuをクロスセクションポリッシャ装置による断面イオンミリングにて加工し、SEMで500倍で撮影したものです。
断面イオンミリング法によって、チャネリングコントラストで結晶が綺麗に分かります。

CP加工による断面試料の用途

結晶性材料の観察(EBSD分析)
電子顕微鏡(SEM)による合金層生成部の観察
EDS元素分析の前処理
FIB加工の前処理
硬さの異なる積層構造物の断面観察

まとめ

「CP(クロスセクションポリッシャ)」加工は、材料による影響を最小限に抑えた無応力加工。
試料の結晶構造を壊さず、積層形状、結晶状態、異物断面などEBSD解析の前処理として最適です。
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